好きも嫌いも冷静に
俺はどうなんだ?
何だか話し込んでいたら、今日も帰宅が遅くなった。
年上か…、やっぱり5歳の差は小さいようで大きいのかも知れない…。
かもじゃなく、大きいな、女性は大人だからな〜、余計、大人だよな。
だけど、何の確証も無いけど、英雄と佐蔵さんなら合うような気がした。
生まれ持つ気質というか、何がという訳じゃないけど、初めて会った人でも、何か合うかもみたいな感覚、それに似てる気がした。
とどのつまり、二人は似た者同士といったところか。
「お帰りなさい」
「うぅわっ、こ、こんばんは。あ、すみません」
考え事に頭を巡らせていた俺は、不意打ちのような大家さんの呼びかけに過剰に驚いた。
「ご、ごめんなさい。心臓に良くなかったですね」
「いいえ、びっくりしただけです。考え事、していたものですから」
「顔色、良くなってますね。お悩みは解決しましたか?」
「あ、ああ、そうですね。案ずる事は無かったようでした」
まだ英雄にとっては悩みは解消とまではいかないだろうけど。
「そうですか、良かったですね、…と言っても…いいのでしょうか?」
「え?ええ、大丈夫です」
「それは良かったです」
何か、微妙に感じ取られてるのだろうか。やけに繊細に聞いてくるな。
「はい、まあ…、これからですね。前途洋々のようですから、大丈夫です多分」
「…あの、美作さん、それは美作さんの事なのですか?あ、ごめんなさいプライベートな事…」
「いいえ。大丈夫です。友人の事です」
そう友人です。
「まあ。ではご友人の事を気遣って睡眠不足に?」
「まあ、…はい。発端は自分にも関係ある事だったので。上手くいってくれれば良いと…願ってました」
こう言ってしまうとぼぼ男女のことだと思うかな。
「そうなんですね。ごめんなさい、お疲れのところ。今夜はぐっすり眠れますね。おやすみなさい」
「…はい、おやすみなさい」
言うまでもないが、風呂から出る頃にはぐいぐい襲ってくる睡魔との戦いになった。抵抗する意味もない。
ベッドに倒れ込むように眠りについた俺は、朝、携帯のアラームが鳴るまで目が覚めなかった。
朝はスヌーズとの戦いになった。