好きも嫌いも冷静に
「なんで…」
「英雄の気持ちはずっとバレバレだし…私においては、英雄を妬かせたくて、大して好きでもない相手に次から次へ、告って付き合ってたって…。だから長く続かないんだって。もう、見てて苛々したって…。
でも、自分で気がつかなきゃダメだからって、何も言わなかったって」
「姉貴…」
そういうことか。
「早智は私の気持ち、お見通しだったって事ね」
…待ってくれ。
「…え、じゃあ…、環さんも…その、なんて言うか、俺の事…」
「好きだって自分の気持ちに、気がついていなかったのね。ううん、…違うわ、気がつかない振りをしたのね、英君が純粋だから。怖かったのかも知れない、好きだと言って‥傷つけるんじゃないかって。
充分大人になった今なら、上手く付き合えるのかも知れない…逃げずに。きっと凄く大事なモノだったのよ、英君の事が」
はあぁ。
「環さん、俺…好きだ。環さんの事が好きです。ずっと好きでした」
「ズルくない?」
「え?」
「私からの告白待ち?なんて」
「いや、それは」
「知ってる、…解ってる。待ってたわ。そう言ってくれるのを…大人に成るのをずっと待っていたんだと思う。私だって…ズルいわよね、何だか散々長~い間焦らしたみたいで…。いつも男を連れてるように見せてて…」
「環さん、思いは通じたと思っていいんですよね?」
「当たり前でしょ?私だって、好きだったんだから」
「環さん…」
俺は並んで座っていた環さんの体を捻り、正面から抱きしめた。
「いいんですよね?好きで」
「…うん、いいのよ。私も好きなんだから…」