好きも嫌いも冷静に
「いら、あ?いらっしゃい…伊織」
「ああ、英雄、ちょっと」
「な、なんだよ、おい」
「いいから…その誤解だよ」
「ぁあ?」
俺は英雄の腕を取り、レジ横に連れて行った。
連れは大家さんだということ、空き巣の話、掻い摘んで話した。それと、大人様ランチを頼めるか聞いた。
英雄は、そういうことなら協力するよ、と胸を叩いた。あと、食後のケーキセットも頼むな、と言って戻った。
「すみません、大家さん。さあ、あっちに座りましょうか」
「はい」
「勝手に御飯注文しました。待っててください。マスターが頑張ってくれますから」
「は、い?」
それほど待つことにはならなかった。
「はい、お待たせしました。超特急で仕上げましたよ。……どうぞ~」
英雄は俺にウインクした。おい…、またそんな軽はずみな事を。
まあ、今回は許そう。
「凄い…。お子様ランチなんて、子供の時以来です。あ、私ったら、…当たり前ですね。
嬉しいです。わ~、見れば見るほど色々あって…何だかやっぱりワクワクしますね。不思議ですね」
やるな英雄。今日は旗も立ってるじゃないか。
「マスターの英雄です。気に入って頂けたようで光栄です。…さあ、どうぞ。冷めないうちに召し上がってください。
後でケーキをお持ちします。コーヒー、紅茶、どちらがよろしいですか?」
「紅茶でお願いします。あ、私ったら。美作さんを差し置いて」
「大丈夫です。俺はコーヒーで」
「かしこまりました」
英雄はスマートな対応で下がっていった。
「あの…凄いガッチリした大きな方ですね。それと同じくらい、優しそうな方ですね」
人間観察か。間違ってはない。
「はい、凄くいい奴です」