好きも嫌いも冷静に
英雄に話してみるか…。
自分一人で思案して、見えそうで見えないもどかしい気持ちになるなら、聞いてもらった方がいいかも知れない…。
何かが解決するかもしれない。
「いらっしゃ〜い、伊織〜」
相変わらず、機嫌がいいな。
「おお。パスタ、ボンゴレビアンコを頼む。それと、英雄、後で話せる時間あるか?」
「あ?そうだな…、丁度、これ作ったら大丈夫そうだ、な」
フロアの客を確認したようだ。
「うん、大丈夫だ」
「じゃあ、頼む」
「了解~!」
皿を手にやって来た。
「ほい、出来たぞ!」
「…サンキュー。なあ英雄…、奥の部屋使えるよな?行こう、いいよな?」
「ズキュン。えー、伊織、な〜に、もう、いきなり〜。いいよな、なんて。…いいわよ〜」
…。何故急に…オネエになるんだ…。撃たれたって…、胸に手を当てるんじゃないよ、もう…。
本当、…不思議な奴だな。
どこかにスイッチがあるんじゃないか?
俺はトレイを持った英雄を引っ張って行った。
「ぃいから…早く、行くぞ!」
「いや〜、伊織~」
嬉しそうに…も゙う、頼む。誰か英雄の口を塞いでくれ…。
パタン。
「もう、伊織が慌てるから、スープがこぼれるじゃない」
英雄がトレイに乗った皿とカップを並べながら文句を言った。
「悪い、早く移動してしまいたかったんだ」
「もう、せっかちなんだからぁ。ちょっと待ってて」
英雄は自分の分の賄いとコーヒーを手に戻って来た。
「俺も一緒に食べるよ」
…、言葉遣い、普通に戻ってるじゃないか。