好きも嫌いも冷静に
「バカ、照れ隠しだよ。まともな顔して聞けるか、こんな話。それより、それそれ」
「なに?」
「今みたいに、そのオネエ言葉。佐蔵さんとの…時、不意に出たりしないのか?」
「う〜ん、多分出てないと思うけど。その時は夢中だから解んないけど。あ、バカ、伊織。何言わせるのよ〜」
「…まただ。なんでかな〜。無意識の何が作用してるんだろうなあ」
「きっと、あれよ。伊織がいい男だからよ」
「…。それだと本格的なオネエにならないか?」
「いや、何度でも言う。俺、オネエじゃないから。…当たり前だけど、姉貴達と同じDNAだからな…。勝手に反応してしまうんじゃないかな、あいつらに囲まれて育ったから。
いい男には反応するようにインプットされたんだよ、きっと」
「俺がいい男かどうかは別として、何だか納得してしまいそうだ。これで英雄のお姉さん達に会いでもして、同じような言葉を言われたら、更に納得しそうだな」
「ああ、悪いことは言わない。会わないにこした事はないぞ?
環さんみたいにグイグイ来るからな、大変だぞ?姉貴達はまさに、類は友を呼ぶ、仲だから」
「ハハハ。…会わない事を祈るよ」
「だけど、なんで伊織は大人しいんだろうか」
「なんだ?いきなり、大人しい?って」
「ああ。伊織みたいな容姿なら派手な付き合いとか、し放題だろ?」
「それなぁ…まあ、よく言われる。より取り見取りだろってね。
だけど、実際は見掛けと違うから、期待ハズレだ、ってさ」