君の優しさに拳銃を突きつける
「みんな悔しいんだ
蒼空ちゃんを守るはずの自分たちが
その脅威にも気づけなかったことが!」
「…………はる…」
「僕だって……」
その瞬間 視界が揺らいだ
あまりに突然のことで
体制を崩す
「……………………」
理解するのに時間はかからない
腰にまわされた腕
服越しに聞こえてくる規則的な鼓動のリズム
わからない
春斗君は私を良くは思っていない
そんな彼がどうして
私を抱き締めているのだろう
「僕だって…BLOODY SWORDの一人なんだ
君のこと嫌いだけど
それでも蒼空ちゃんは姫なんだよ
守りたいんだ
お願い。僕達にちゃんと守らせてよ
信じてよ」
「はる…とくん」
信じてなかったわけじゃない
信じようとしてなかったわけじゃない
信じてた
信じてしまったから怖かったんだ
皆といるのは怖い
守られていることが怖い
優しくされるのも
こうやって追いかけてくる人がいることも
全部怖い
もしも失ってしまったら
私はきっと正気ではいられない
食べることも
寝ることも
考えることも
何かを思うことも
息をすることも
生きること全てが
出来なくなる