君の優しさに拳銃を突きつける







春斗君は男に殴り続けられる


そのたびに見せる辛い表情






どうして?





なんでこんなことに……








いや





「やめて!それ以上殴ったら


春斗君が!」





お願い





やめて








「離して!春斗君!」



「すみません。これも命令ですので」




私を掴む手を振りほどくことが出来ない





こんなのおかしい






「ぅう…はる…と……く…ん


……なん…で」






「そっ…らちゃん


う゛っ……君はぼくた…ちの姫な…んだよ


騎士がっっ、…はあ…姫を守るのは


はぁ……あたり…まえでしょ」





「たくっ。うるさいなあ


そろそろ終わってくれへん?」




「っっう゛ぅ」






目の前で起こっていることが


現実なのか今の私にはわからない



少しずつ意識を失い始めている


春斗君を私はただ見つめることしか出来ない













いや





私のために誰かが傷つくのは





私はただ見ていることしか出来ない






どうして





私はこんなにも無力なの?









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