君の優しさに拳銃を突きつける











「元気そうね。蒼空」




「まったく……心配していたんだよ」







私は目の前で偽りの笑みを


浮かべている二人を睨む



でもそんなのは


この二人には効かない



そんなことは分かっている








「颯と一緒にいたんでしょう?」




「……………………」




「心配しないで


あの子も直ぐに来るから


あと……お友だちもね」





女の手が私の頬を擦る


身体が震えてしまいそうになるくらい


冷たい手は


女の心の冷たさのよう






「皆は関係ないでしょ!


颯くんのことも…もう諦めてよ!」




私は女の手を振り払い訴える


だけど逆に手首を持ち返されてしまった




「っ…」


「何を言ってるの?


颯を一番憎んでいるのは貴女でしょう?」


「違う!」





颯君のこと憎んだことなんてない


彼が辛いのは私が一番


傍で見ていたからわかる


彼を救ってあげたかった


だから


颯君が居なくなったとき


寂しかったけど


これで良いんだと受け入れられた





「雨水は私が継ぐ」






颯君がそれで救われるなら


私が代わりになることくらい容易い






「颯くんは自由にしてあげて」







「………………………………」








「蒼空」








それまで黙っていた男の口がゆっくりと開く








「お前は一度逃げ出したんだ


それを簡単に許せるほど


この世界は甘くない」







男はさっきまでの笑みなど消え


私を試すかのような目で見ている












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