君の優しさに拳銃を突きつける
「雨水の…人間だったんですね……」
「敬語をお使いになるのは
お止めください
……はい…普段は組長の傍で働いて
いますから蒼空様とお逢いする
機会もほとんど無かったかと…」
「……?」
途中で話すのをやめてしまった彼
あまりにも不自然すぎることに
え……という声が漏れていたのかもしれない
彼は私の方に振り向いて
目を合わせてくる
さっきまでの冷たい瞳ではなく
悲しみを帯びた瞳で
「覚えては…いないのですね……」
立ち止まった彼と私の間に
重い空気がながれる
それは互いを試すような
そんな空気
彼が私から視線を外すことはない
それは私も同じ
私は少し混同していた
彼の質問と自分自身の存在に
「…………わからない」
彼の望む答えではないことは
わかっている
だけど
今の私から出る言葉は
それだけ