君の優しさに拳銃を突きつける








怪訝そうな表情から



きっと私の言葉が事実では



ないのだと彼は思っている








私の言葉はあまりにも



曖昧すぎた



イエスでもノーでもない



相手に期待を持たせてしまう答え








「嘘ですよね…」





敬語なことには変わりないけど



彼の苛立ちが伝わってくる






「嘘なんて言わない」





「では…あいつのことも忘れたんですか?」






彼の質問の意味がわからない




何を覚えていないのかも



あいつも





私にはわからない










「はっ……あなたは狡い人ですね」








結局 何のことなのかも


教えてはくれない






何も話さなくなった彼は


また静かに歩き始める











「ちょっと……」











瞬間的に無駄だと理解する



今の彼が望むものを



私は持っていない




持っていない限り



どうすることも出来ないんだ








「「……………………」」













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