君の優しさに拳銃を突きつける
俺は一度
その部屋にを出て
着替えが終わるのを待つ
「湊堵」
「っ!…組長」
俺の名前を呼んだのは
雨水組の組長
蒼空と颯の父親だ
「なにかご用でしょうか?」
…………………………………………
なかなか口を開かない組長
立場上それを急かすことは出来ない
ただ
この沈黙に冷や汗が流れた
「………………情に流されるなよ」
「……」
告げられたのは
蒼空のことではなく
俺自身に対するものだった
組長は分かっていて言っているんだ
俺が仕事よりも蒼空を優先
しそうなことに
「はい」
絞り出した返事は
不確かなもので
きっと そのことだって
この人はわかってるんだろう