君の優しさに拳銃を突きつける
それから数ヵ月間は何事もなく過ごし
その年の冬
俺は友人繋がりで義姉のことを耳にした
『雨水組の女が学校で虐められている』
『誰とでもヤる淫乱女』
『薬をまわしている』
『愛に飢えている』
『ヤクザの娘』
そこには俺がうけるはずだった苦痛
まだ俺だったら良かったのかもしれない
俺は男で蒼空は女だ
女というだけで人からの評価は大きく変わる
それが この世の中だ
でも。そんな苦痛をあたえた原因は
間違いなく俺だ
「っち」
蒼空を傷つけたいわけじゃない
苦しめたいわけでも
悲しませたいわけでもない
考えが甘かった
もっと早く気づいていればよかったんだ