君の優しさに拳銃を突きつける
「……で、聞きたいことがあるんだろ?」
「うん」
はっきりと聞こえるわけではないが
話している内容はなんとなく聞こえる
「あの……家の方にはなんて…
言えばいいのかな?」
蒼空は不安そうに伝える
それも無理はない
雨水組は全国でも有名な極道で
蒼空自身もそのことは理解している
彼女を管理下に置きたい親としては
たとえ彼女を嫌っていたとしても
蒼空の居場所や一緒にいる
俺たちのことを調べようとするはずだ
きっと蒼空が心配しているのは
自分たちではなく俺たちのこと
「……みんなに…………迷わ」
「姉ちゃん
それ以上言わないで」
颯は蒼空の言葉を遮る
俺が颯の立場でもそうする
「俺たちは迷惑だなんて思わない
蒼空に逢いに行く前から
みんな覚悟してるんだ
迷惑かけていいんだ
姉ちゃんは誰かに甘えていいんだよ」
颯の話し方が少し感情的になっている気がする