君の優しさに拳銃を突きつける
「みんな出来たよ」
僕が何も言えないで蒼空ちゃんを
見つめていたら
キッチンのほうから戻ってきた拓弥さんと
零ちゃんがやって来る
「春斗。手伝え」
零ちゃんが僕に持ってきた食事を手渡す
それを当たり前のように
目の前のテーブルに並べていく
「私も手伝います」
僕とのことがあったから
何も出来ないのかと思っていたけど
その考えとは裏腹に
席を立ち上がり手伝いをはじめる彼女
「馬鹿なのか……」
それとも素でやっているのか……
「なんか言ったか?春斗」
僕の目の前にいた零ちゃんは
無表情のまま僕に問いかける
「なんでもないよ
僕、颯ちゃんたち呼んでくるね」
僕はまた笑顔をつくって
言葉通り颯ちゃんたちを呼びにいく
そんな僕の後ろ姿を
零ちゃんが見ているとも知らずに