君の優しさに拳銃を突きつける
















「姉ちゃんに居場所をつくるためだよ」











「なに……言ってるの?」






「俺のせいで姉ちゃんを苦しめた

俺が全部押しつけたせい…」


「違う!!」




私が大きな声で否定をすると


颯君は驚いたのか少しだけ目を見開く


でも。それも一瞬だけで


颯君は直ぐに元にもどり


私との間にあった距離を縮めてくる












「颯君のせいじゃない」


颯君が声を発するよりも先に


私が否定の言葉を繰り返す



「颯君のせいじゃないの」


「姉ちゃんっ」


「違うの……颯君じゃない」





もしかしたら私のこの言葉が


颯君を余計に傷つけるのかもしれない







「蒼空」


「……………………………………」



私が黙ることを知っていてか


颯君が私を蒼空と呼ぶときは


戸惑っているときだ









「そ……姉ちゃん

理由が俺でないにしろ

今 姉ちゃんが苦しんでいるのに

違いはないだろ」







< 8 / 155 >

この作品をシェア

pagetop