君の優しさに拳銃を突きつける
「姉ちゃんに居場所をつくるためだよ」
「なに……言ってるの?」
「俺のせいで姉ちゃんを苦しめた
俺が全部押しつけたせい…」
「違う!!」
私が大きな声で否定をすると
颯君は驚いたのか少しだけ目を見開く
でも。それも一瞬だけで
颯君は直ぐに元にもどり
私との間にあった距離を縮めてくる
「颯君のせいじゃない」
颯君が声を発するよりも先に
私が否定の言葉を繰り返す
「颯君のせいじゃないの」
「姉ちゃんっ」
「違うの……颯君じゃない」
もしかしたら私のこの言葉が
颯君を余計に傷つけるのかもしれない
「蒼空」
「……………………………………」
私が黙ることを知っていてか
颯君が私を蒼空と呼ぶときは
戸惑っているときだ
「そ……姉ちゃん
理由が俺でないにしろ
今 姉ちゃんが苦しんでいるのに
違いはないだろ」