最後の賭け
「もうすぐ付き合って一年なのと、真依子さんの誕生日のお祝い」

 一瞬あっけに取られている真依子を見て、ユウジは少しだけ悲しそうに眉をしかめた。

「もしかして忘れてたの?」

「えっ、そんなわけないじゃない。ただ、突然だからびっくりしちゃって――」

 正直いうと、忘れていた。

 自分の誕生日の方を。

「当日祝えないだろうし、早めにお祝いしようかなって。サプライズしてみた」

「ありがとう。すごく嬉しい」

年が一つ増えるのは嬉しくないけど、と小声で付け足す。

 ユウジはソファーの影から、紙袋を取り出した。

「たいしたものじゃないんだけど、プレゼント」

 真依子は持っていたビールをテーブルの上に置くと、紙袋を受け取った。

 紙袋に入っていたのは小さなピンク色の袋と、手のひらより大きめな白い箱。

「開けてもいい?」

「もちろん。真依子さん、絶対気にいると思う。開けてみて」
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