最後の賭け
パートも帰り、新人を残してお昼休みを取るのはいささか不安を感じたが、隣の病院も午前の部は終わり、午後二時となれば患者はほとんど来ない。
普段は、小さなロッカールームで、コンビニのおにぎりなど食べてお昼をすませていたが、たまにはランチに行きたい。
近くの牛丼屋でもいい。
何よりも、いくら言ってもミスが減らないぶりっ子女と三十分でいいから別の空気を吸いたい。
真依子は「何かあったら必ず電話してよ」とキツく言って薬局を出た。
角を曲がった先にオレンジ色の牛丼屋の看板が目に入る。
その看板を見て、ふと思い出し笑いをした。
「女が牛丼屋に一人で入るなんて、ありえないだろ」
そう言ったのは、ユウジの前に付き合っていた男だ。
何度も何度も牛丼屋に来たことがあって、季節のおすすめメニューまで把握してた真依子は、凍りついた。
「そうだね。あんなところ一人じゃ入れない」
あの頃は取り繕って、そう答えるので精一杯だった。本当のことを言って彼に嫌われたくなかった。
今思い返すと、猫をかぶって無理をして合わせて、楽しかったのだろうかわからない。
普段は、小さなロッカールームで、コンビニのおにぎりなど食べてお昼をすませていたが、たまにはランチに行きたい。
近くの牛丼屋でもいい。
何よりも、いくら言ってもミスが減らないぶりっ子女と三十分でいいから別の空気を吸いたい。
真依子は「何かあったら必ず電話してよ」とキツく言って薬局を出た。
角を曲がった先にオレンジ色の牛丼屋の看板が目に入る。
その看板を見て、ふと思い出し笑いをした。
「女が牛丼屋に一人で入るなんて、ありえないだろ」
そう言ったのは、ユウジの前に付き合っていた男だ。
何度も何度も牛丼屋に来たことがあって、季節のおすすめメニューまで把握してた真依子は、凍りついた。
「そうだね。あんなところ一人じゃ入れない」
あの頃は取り繕って、そう答えるので精一杯だった。本当のことを言って彼に嫌われたくなかった。
今思い返すと、猫をかぶって無理をして合わせて、楽しかったのだろうかわからない。