嘘つきな愛の詩



先輩に初めて振る舞う手料理が冷蔵庫の余り物なんて


そんなのっ…


絶対に嫌っ!


「夕飯、どこかで食べませんか⁈」

慌てて提案をした私をひょいと抱きかかえてキッチンへと向かう。


「あのっ、本当に恥ずかしいんでっ…」


あたふたする私をよそに、先輩は鍋の蓋をあけて味見。


「残り物でロールキャベツなんて凄いよ。めっちゃ美味い‼」


優しい笑顔ともちがう。


ちょっとやんちゃそうな少年みたいな笑顔。


ヤバイくらい

胸が高鳴る。




「一緒に…食べます?」

「うん‼」



会社ではあんなに爽やかで


二人きりの時は甘えん坊だったり強引だったり…




色んな先輩の表情。


私だけが


知ってる。


勝手に


そう思ってもいいのかな?






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