嘘つきな愛の詩
夕食もシャワーも終った頃
ピンポンと玄関のチャイム音。
…こんな夜に誰かしら?
思い当たる節はある。
こんな時間に私を訪ねて来るのは
下の階に住んでる新聞屋勤務の男っ‼
なんとか私に新聞の契約をとらせようとちょこちょこ来るんだっ‼
もうっ、迷惑すぎる‼
「だから、新聞はいらないんですよっ‼」
ドアを開けるなり私が言うと、案の定そこにいたのは新聞屋勤務のお兄さん。
「そんなこと言わないでよー!人助けと思って?」と手にはサランラップやらなんやらを持っている。
契約した人への粗品か何かだろう…。
こうもしつこいと、あまり怒らない私だって怒りたくなる。
「だから、もうっ、本当に新聞はけっこうです‼」
「お願いしますよー!同じマンションに住んでてこれも何かの縁と…」
お兄さんが話してる途中で突然、お兄さんの肩を誰かが掴んだ。
「要らないから」って
聞き覚えのある声に耳を疑って
お兄さんの後ろにいる人物に視線をやると
そこには…
そこには
私服姿の冨樫先輩っ⁈
「「えっ⁈」」
新聞屋のお兄さんと思わず声が重なった。
お兄さんは慌てて帰って行ってしまったけど
目の前にいる私服姿の冨樫先輩を前に私は
開いた口が塞がりません‼
な、なんでっ⁈
なんで冨樫先輩が私の部屋の前にいるんですかーっ⁇⁇‼