恋するキミの隣で。~苦さ96%の恋~


オレの手と脚を止めたのは、教室から漏れてくる声。

この声は……


声の聞こえる方に視線を移すと、古文学習室が目に入った。

それぞれの教科別の学習室が並ぶこの棟は、生徒はあまりいなくて静かなはずなのに……


声の主が頭に浮かんだオレは、ドアに近付き中を覗いた。

まさかな~……なんて思いながらもこの声を聞き間違えてるとは思えず。

覗きというスリルが加わってか、微かな緊張がオレを包む。


そこには、古文の教師の高遠と……声の主、小林の姿があった。

……何してんだ?


ツーショットに、オレの緊張が静かに高まる。

机に寄りかかる高遠と、その近くに立つ小林。

オレに覗かれてるとも知らない2人が、会話を続ける。


「ねぇ、先生。先生は高校の時、何の教科が好きだった?」


溢れんばかりの笑顔を向ける小林に、オレの心臓がドクンと音を鳴らした。

だって、なんだ?あの笑顔……



普段の小林からは考えられない柔らかい表情に、オレの視線が釘付けになる。


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