恋するキミの隣で。~苦さ96%の恋~


窓の外へと向ける視線が微笑んでいて、何を見てるのか、その視線を追おうとして……また慌てて顔を引っ込めた。

……廊下の向こうから歩いてくる矢野センの姿に。


「高遠」

「あぁ、矢野。空き時間?」


「あぁ。……こんなとこから何見てるんですか~?」


ニヤニヤしている矢野センが高遠に聞く。

そして高遠の隣に並んで窓の外を眺める。


「あぁ、体育か。高遠の愛しの君は」

「本当に矢野は意地が悪いな。言いようがあるだろ」

「ストレートなだけだろ?……高遠の言い方じゃ回りくどすぎて伝わらねぇよ」


体育……うちのクラスの授業だ。

って事は……高遠が目を細めて見つめていたのは――――……



矢野センの言葉に、高遠が小さく苦笑いを浮かべる。


「伝える気もないけどな」

「……で、わざと嫌われようとしてんだ?」


話の内容は……多分、小林の事。

だけどわざと嫌われようとしてるって、なんだ……?

なんでそんな必要があるんだ……?


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