恋するキミの隣で。~苦さ96%の恋~


静かな廊下に響く足音に高遠が振り返る

そしてオレの姿を確認すると、眉を潜めて驚きを示した。


「澤田……授業はどうした?」


……やべ。忘れてた。

思い出したサボリの事実に焦った気持ちを隠して、オレは高遠を見据えた。


「小林の事……好きなのにわざとそっけなくしてるんですか?」


オレの言葉に、高遠は少しだけ驚いて……小さく笑った。


「小林から聞いてるよ。澤田にバレたって。でもすごくいい人だから大丈夫だって言ってた」

「……なんで冷たくするんですか?

好きなら……」


二度目のオレの問い掛けを、高遠の落ち着いた声が遮る。


「好きなら相手の未来を心配するのが普通だろう?

……気持ちを押し付けるだけが、愛情じゃない」

「……教師、だから?」


オレの言葉に、高遠は少しだけ眉を潜めて微笑んだ。


じゃあ……

本当は高遠も小林が好きで……だけど、教師と生徒って関係がいつか小林に負担になるって考えて……?


本当は想い合ってるのに、わざと冷たく……


小林のために―――――……



……なんだよ、それ。


なんだよ、それ。


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