恋するキミの隣で。~苦さ96%の恋~


「大人ぶるなよ! 好きなら好きって言えばいいだろ?

好きなら守ってやればいいだろ?

自分の気持ち隠して身を引くのが好きって事じゃねぇだろ?!」


熱くなった自分を止められなかった。

そんな聞き分けのいい事言ってる高遠が頭にきて……


「じゃあ澤田はどうなんだ?」

「は?」

「好きなくせに友達なんかして、小林の恋の相談なんか乗って……

おまえだって、自分の気持ちを言えば小林を困らせるから言わないんだろ?」


高遠の切り返しに、オレは無くした言葉を慌てて探す。


「違う。……振られんのビビってるだけだし」

「小林の友達は自分だけだから、自分がヘタに告白して気まずくなって小林が1人になるのが嫌なんだろ?

澤田がビビってるのは振られる事じゃない。

小林の頼れる相手を無くす事……」

「違ぇよ!! 大体……っ、高遠の話をしてたんだろぉが! 話を逸らすな!」


図星をつかれたオレに高遠が、ふっと笑みをこぼす。

大人ぶる態度が余計にオレを苛立たせたけど、それをぐっと堪える。


睨むように見ていると、オレの視線の先で、高遠が小さくため息をついた。



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