恋するキミの隣で。~苦さ96%の恋~
けど……
「矢野センは好きな奴のためなら自分の気持ち隠す?
相手の幸せのためなら自分の気持ちを殺せる?」
オレの問い掛けに、矢野センは少し考えて……ふっと笑った。
「オレには無理かな……
無理だけど……よくよく追いつめられてそれがオレと別れる事で解決されるなら……相手がそれを望むなら……
いや、でも無理だ。やっぱり無理」
途中まで出した答えを、小さく首を振って否定した矢野センに、笑いがこみ上げてくる。
「だよな! オレも……片思いならまだしも、両思いだったら絶対別れない。
……相手が望まない限り」
「望まれたら別れんのかよ」
「いや、だってそれはさぁ……つぅか、相手が嫌がっても別れない矢野センのがおかしいって」
「だってオレは別れたくないし。つぅかオレ普段から結構つくしてるから、まず別れ話なんか切り出されねぇよ」
「つくしてるって矢野センが?!」
食いついたオレに、矢野センが眉を潜める。
そして少し不機嫌そうに言う。
「おまえが聞きたいのは高遠が選んだ答えが間違ってるんじゃないかって事だろ?」
「あぁ、まぁ……」
なんかちょっとはぐらかされた気分になっていると、矢野センはオレから視線を逸らして窓の外を眺めた。
矢野センの視線の先では、ゆっくりと流れる大きな雲が形を崩していく。
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