恋するキミの隣で。~苦さ96%の恋~


その雲が太陽の光を遮った時、矢野センが言った。


「何が正しいかはそん時は分かんねぇんだよ。

時間が経って結果が形になって見えてから、初めてそれが分かるんだろうな。

子供も大人も関係なく、自分が考え抜いて出した答えに必死になるしかねぇんだよな……」

「……」

「高遠は……小林と向き合ってた3ヵ月間、ずっと考えてた。

多分、その間に小林への想いがでかくなったんだろうな。

それで……」




それで……小林の未来を、夢を守りたくて――――……?


自分の気持ちを殺すって決めたのか……



小林が、好きだから。




「こないだ、オレが澤田にけしかけたの覚えてるか?

友達に甘んじてんじゃねぇって」

「あぁ、覚えてるけど」

「あれな、高遠に言われてたんだ。

澤田が小林の事好きなくせに全然攻めないから煽ってくれって」

「は?!」


驚いたオレに、矢野センが静かに笑う。


攻めないって……なんだよ、それ……


「なんなんだよ、高遠……自分じゃ小林傷付けるのが怖くて別れ話も切り出せないくせして人頼みかよ。

それに、そんなの直接言え……」

「澤田」


高遠への不満をもらしているオレを遮った矢野センが、オレを見据える。

その目は……悲しそうに細められた。


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