恋するキミの隣で。~苦さ96%の恋~


オレの言葉に、岡田が「そうそう!」と勢いよく頷いた。

何事かと岡田をしかめっ面で眺めていると、岡田の目尻がだらしなくたれ始めた。


「あの人よくね?

先週ちょっと野球部の練習まじってたら脚擦りむいちゃってさ、保健室行ったら先生いなくて、たまたまいた市川先輩が手当てしてくれたんだ。

なんかすげぇ優しくてさぁ、ふわふわしていい匂いして……今かなりキてんだけど」

「おまえには無理だよ。

市川先輩の彼氏って超おっかねぇヤクザらしいぞ」


注意してやったにも関わらず、岡田はオレに呆れたような、バカにしたような笑みをこぼす。


「あほか。高校生がやくざとなんか付き合ってる訳ないだろ。

壱はいい奴だけどイマイチ常識がないよなぁ」

「でも矢野センが言って……」

「矢野センなんかオレ達に授業以外はいい加減な事ばっか言ってんじゃん。

こないだだって、「オレ総裁選出る事が決まった」とか言ってふざけてたじゃん」

「……」


そういやバスケの練習も確かふざけて……

なんだよ、オレ騙されたのかよっ


悔しがるオレの横で、岡田が麗しの市川先輩への想いを語り出す。


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