恋するキミの隣で。~苦さ96%の恋~


「いいよなぁ……強気そうで優しくて。顔もオレのタイプだし……どうにかして近づけねぇかなぁ」

「数学学習室にたまに来るけど……でも彼氏いそうじゃね?」


そう忠告するオレに、岡田は立てた人差し指を左右に振る。

……「ちっちっち」なんて言う効果音付きで。


「オレはさっきも言ったけど、彼氏がいるからって諦めたりしない。

自分が納得するまで、ぶつかり続ける」

「……あっそ」


はっきりと自分の気持ちを言葉にする岡田。

それが眩しく見えてオレは目を逸らして、わざと適当な返事をした。



自分の気持ちを突き通すのか。

相手の気持ちを汲み取るのか。


いっその事、自分の好きに出来たらいいのに……


みんなの気持ちを考えるほどがんじがらめになる。




ただ、分かるのは。


小林が好きだ。


……それだけ。


たったそれだけの、とてつもなく大きな感情。



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