恋するキミの隣で。~苦さ96%の恋~
「あのさ、オレも一応男なんだけど……その辺分かってるよな?」
自分で言っててアホらしくなる。
今更「男なんだけど」とかアホだろ。
なんの告白だよ。
だけど、小林があまりにオレに油断してるから……少しだけ意地悪したくなったんだ。
少しでいいから、男として意識して欲しかった。
オレの告白に小林は戸惑った表情を浮かべて……ピンクに染まった頬がまた愛しくて、胸が締め付けられる。
思わず、手を引いて抱き締めたくなる。
一度だけ感じた小林の体温。
小林を象る身体。
知ってしまった感触が、オレの心臓を急かす。
もう一度、この腕に閉じ込めたくなる――――……
思わず衝動に駆られそうになった自分に、大きく息を吐く。
自分を誤魔化すように、わざと真面目な話題を選ぶと、オレはその疑問を小林に向ける。
「なぁ……小林って教師になりたいんだろ?」
「え……なんで知ってるの?」
いつも通りに戻った小林に少し安心しながら、オレは後ろ頭をかいて答えを探す。
「えーっと……ちょっと小耳に挟んで?」
なんだ、小耳って。
オレの嘘くさい理由を疑いもせずに、小林は納得して。
そして頷いた。
「……うん。だから大学も教育学部に行きたいなって思ってるんだ」
「へぇ。今から考えてるなんてすごいな」
オレの言葉に、小林が少し照れたように笑う。
まだ幼さの残る小林からは、教壇に立つ未来は想像も出来ないけど……だけど、小林ならいい教師になれる気がした。
生徒を親身になって心配できる、いい教師に――――……
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