恋するキミの隣で。~苦さ96%の恋~


「おまえバカじゃねぇ?」


翌日の体育。

バレーボールの試合待ちの時、岡田が言った。


「岡田ほどじゃないけどな」

「いや、壱には負けるって。

好きな女とカラオケの個室で密室状態になったのにただ熱唱して帰ってきたって……なんだ、それ」


そう。あの後オレ達は予定通りカラオケに行って、そのまま帰った。

岡田はどうやらそれが気に入らないらしい。


「言いたい事は分かるけど……オレには無理だって。いきなり襲いかかるなんて」

「誰が襲えって言ったよ。どんなイメージだよ、オレ。

違くて……気持ち匂わせるくらいの事すればいいのにって」


コートの中では接戦が繰り広げられていて、バレーボールをレシーブする音が気持ちよく響く。


考えを巡らせるオレに、岡田はため息をついてから続けた。


「まず基本だろ~。告白までしなくても、気持ちを匂わせて相手に自分を意識させる。

こないだのオレみたいに」


オレの頭に、先日の岡田と市川先輩との会話が浮かぶ。



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