恋するキミの隣で。~苦さ96%の恋~
「あ……?」
難しい選択肢に唸りそうなオレに、不意に小林が触れた。
オレのこめかみの辺りに、小林の手が……
慌てて振り向くと、小林は心配そうな表情をオレに向けていた。
「ここ、切れてる。ちょっと血が出てるよ」
「え? あぁ……大したことないから平気」
「待って。あたし絆創膏持ってるから」
こめかみを見つめる小林。
その視線は確かに傷口に向けられてるのに、まるでオレを見つめられているような錯覚が襲う。
強く感じる、鳴り響く鼓動。
身体の中からオレを突き上げる想い――――……
「……こ」
「あたしね、最近、保健室の先生もいいなって思ってるんだ」
「へ? あのちょっとイケメンの若い男が?!」
走り出しそうだった想いを遮られた言葉に首を傾げると……つぅより、新たなライバルの出現に戸惑うと、そんなオレを小林が笑う。
「そうゆう意味じゃないよ。
保健医の仕事もいいなって事」
「あぁ、そうゆう意味か……。
つぅか、そもそもなんで教師になりたいんだよ」
絆創膏を貼り終えた小林が、手の中のゴミを丸める。
そしてそのゴミに視線を落とした。
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