恋するキミの隣で。~苦さ96%の恋~


「高遠先生みたいになりたいな、なんて思いからだったのかな……初めは」

「――――……」




言葉の出なくなったオレに、小林が真剣な表情を向ける。

そんな小林に気付いたオレが振り向くと……小林は躊躇いがちに、オレに問い掛けた。


「もし……もしもあたしが高遠先生と別れたら……

澤田くんは……どう思う?」



それは、想像もしていなかった言葉――――……


予想もしなかった問い掛け……


高遠と小林が別れたら?


そんなの……

そんなの、決まってんじゃん。

願ってもないチャンスたろ?


小林がフリーになればオレにだって可能性が出てくる訳だし……何の気兼ねもなくなるし?


……うん。

答えに迷う必要なんか、ないだろ?




「……嬉しい?」


答えない、答えられないオレに再度ぶつけられた疑問符。


……オレは思わず逸らしていた視線を、小林に合わせた。



「……嬉しくねぇよ。

嬉しいハズ、ないだろ……」







ばかったれが。


自分の気持ちをむき出しに出来ないオレも

そんな事聞く小林も

ちゃんと結論を出さない高遠も。


みんなみんなばかったれだ。


でも……言える訳ないだろ?

高遠みたいな教師になりたいなんて言う小林に、

そこまで高遠を想ってる小林に、オレの気持ちぶつけるなんて……


オレには出来ない。



出来ねぇよ……



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