恋するキミの隣で。~苦さ96%の恋~


「みんな帰っちゃったね」

「あぁ……」


放課後の教室。

オレンジに染まる教室にはオレと小林だけが残された。


なかなか話を切り出さない、切り出せないオレを小林が不思議そうに覗き込む。


窓の手すりに寄りかかったオレは、そんな小林から目を逸らした。

これからする話は……見詰め合ったまま出切るような話じゃない。

……少なくてもオレにとっては。



「小林はさ……高遠が好きなんだよな?」

「え……」


突然の問いに、驚いた表情を見せる小林。

だけど……小林はその表情をゆっくりと沈ませていった。


「なんで……そんな事聞くの?」


そう呟いた小林に、オレは乾いた笑いをこぼす。


なんで? なんて……そんなの――――……




「……本気で気付いてないのか?

薄々気付いてんだろ? ……オレが誰が好きなのか」


小林はびくんと身体を竦ませて……表情を歪める。


.


< 128 / 164 >

この作品をシェア

pagetop