恋するキミの隣で。~苦さ96%の恋~


小林が、自分を責めなくて済む方法。

……オレが悪いって、小林が心から思える方法。

小林が……オレに気兼ねなく、高遠の元へ走れる方法。


……―――― それは、オレが嫌われる事だ。


同情なんかかけられないくらいに、嫌われる事――――……



重なった唇をゆっくりと離す。

小林の驚きを浮かべた表情が瞳に映って、オレは目を逸らした。

……浮かび上がる罪悪感から目を逸らすように。



「……ちょっと待ってて。

すぐ戻ってきて殴られるから」


声も出せないほどにショックを受けたのか……小林は何も言わずに、微動だにしなかった。


そりゃショックだよな……

好きでもない奴にキスされたりしたら。



小林の後ろ姿に思わず謝りたくなる衝動に駆られて……

そんな思いを振り払うようにして教室を後にする。

……傷ついた小林を残して。


後ろ髪を引かれながら、オレは鉛みたいな重い脚を前へ前へと進める。


……胸が痛い。

痛くて痛くて……切り裂かれそうだった。



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