恋するキミの隣で。~苦さ96%の恋~
大人の味
※※※
古文学習室に、静かな空気が流れる。
あの後、矢野センは何も言わずに出て行ってしまって、古文学習室にはオレ1人。
相変わらず埃っぽい匂いが鼻につく。
オレは1つため息をついてから、床へと視線を落とした。
この教室は、どこを見ても小林と高遠の姿を思い出してしまって。
初めて2人を見た時の事を思い出してしまって……心臓が痛くなるから。
今頃……小林はきっと笑ってる。
少しやり方は荒かったかもしれないけど……結果オーライだからいいだろ。
小林に……好きな奴に嫌われるように仕向ける。
ずっとそうしてきた高遠は、本当につらかったんたろうな……
自分がその立場になって初めて気付いた。
小林に嫌われて……初めて気付いた。
「くそ……」
ごめん。
ごめんな、小林……
傷付けてごめん。
裏切ってごめん。
キスしてごめん……
ごめんな……
ごめん。
……好きだったよ。
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