恋するキミの隣で。~苦さ96%の恋~
「女心と秋の空なんて言うけどな、今回の事はそんなんじゃない。
小林が澤田に惹かれたのは必然だ。当然の事だ」
「は?! 何言って……」
「だから自信持て」
意味の分からない高遠に口を開こうとして……だけど、後ろのドアが勢いよく開けられてそれを止めた。
「おまえまたここにいるのかよ……」
「……矢野センこそ」
我が物顔で入ってきた矢野センに返すと、矢野センは高遠を見ながら口の端を上げて笑う。
「オレはまだうじうじしてる傷心の高遠をからかう……いや、慰めるために」
「……それで誤魔化せたと思ってんのか?」
「そう厳しい事言うなよ。
ほら、コーヒー買ってきてやったし? 今日でちょうど20本目」
「……イヤミか。そういえば昨日の分がまだもらってないな」
「あー……だって昨日はてっきりさ……つぅか澤田まだいたのか。早く出てけよ」
高遠と矢野センの会話に、オレはまた1つ疑問符を浮かべる。
高遠が……傷心?
つぅかその前に、小林がオレに惹かれたって……は?!
「高遠っ……先生!
さっきの……え、ってか、小林とちゃんと話したんですよね?!」
矢野センから缶コーヒーを受け取った高遠が、オレに視線を移す。
手元にあるコーヒーのプルタブが独特の金属音を立てて開けられる。
「ああ。話したよ」
「だったら本音ぶつけたんだろ?!」
「本音は言ったよ。最後まで言えてなかったから。……でもな、澤田。
俺の願いは変わらない。
それに俺達は――――……」
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