恋するキミの隣で。~苦さ96%の恋~
願い……
『小林が早く俺以外の男を好きになってくれれば……』
いつか高遠が言ってた願い……
本音とは違うようでいて……でも間違いなく本音の悲しい、願い。
だけど―――――……
「でもっ……昨日はあんな必死に走り出しただろ?!」
小林の事を思って。
ただ小林の事だけを思って走り出したんだろ?
厄介な余計な事情なんて関係なく……
教師なんて立場忘れて――――……
オレの言葉に、高遠がふっと笑う。
そして……
「昨日は澤田の熱に当てられたな。
大人げなかったな。あんなに走ったのは久しぶりだったよ。
……でも、小林の顔を見て、すぐに誰を待ってたか分かった。
あいつの顔を見て、一気に冷静になったよ。
ちゃんと自分の気持ちを認めた小林を見て、心から安心した。
だけど、小林は謝って泣いてたけどな……もう俺を気遣う必要も泣く必要もないのにな。
大体、全部オレの望んだ事なんだからあいつが気にする事なんかじゃないのに……」
「小林の気持ち……?」
少しだけ寂しそうに微笑む高遠にその意味を聞こうとして、でもそれを矢野センに止められた。
「はい。そこまで。
……後は、小林と直接話せよ」
「はい、出た出た」なんて言いながらオレを追い出す矢野センに、オレは教室を出されて……
なんだか納得できない気持ちにふてくされていた時。
オレの耳に、小さな声が届いた。
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