恋するキミの隣で。~苦さ96%の恋~


たったそれだけの事が嬉しくて堪らなくて……うっかり泣きそうになったのを慌てて抑える。

……やべ、マジで泣きそう。




ずっと……ずっと、捕まえたかった。

オレの隣で恋人として笑ってて欲しかった。


小林の笑顔を、いつでも見ていたかった。

小林の涙を、いつでも気付ける距離に居たかった。

その涙を当たり前に拭える関係になりたかった―――――……




……―――― でも、無理だと思ってた。



それを望みながらも、そんな事ある訳ないって……

それでも、それでも傍にいたくて――――……

それ以上の気持ちなんてなくて……


浮かび上がってきた涙を隠そうと、目を閉じると小林の声が聞こえてきた。


「……もしかして泣いてる?」

「……泣いてねぇ」

「……泣いてるんだ」

「泣いてねぇよっ」

「じゃあ離してよ。澤田くんの顔見せて」


小林の言葉に、オレは抱き締める腕に力を込める。


「やっぱり泣いてるんじゃな……」

「やだ。……やっと捕まえたのにどうして離さなきゃなんねぇんだよ。

……今日はずっとこうしてる」


.
< 150 / 164 >

この作品をシェア

pagetop