恋するキミの隣で。~苦さ96%の恋~
「矢野セン、缶コーヒー好きなの?」
「いや? オレはインスタントのが好きだけど……ああ、これは高遠からの返品。
……もう必要ないんだってさ。『大人の味』は」
缶コーヒーを横目に言う矢野セン。
そんな矢野センにつられて、オレも缶コーヒーに視線を向けた。
高遠が返品した缶コーヒーに。
それは、もう吹っ切れた事を教えてるんだろうか。
その前に、高遠はこうなる事を望んでたんだから最初から凹んでなんかなかったのか?
昨日、あの後。
小林に、高遠と何を話したのかを聞いた。
既に別れてたけど、まだお互いに本心は言ってなかったから、そこで初めて伝えあったらしい。
高遠は小林の将来を考えてって事をきちんと小林に伝えて……本当は小林を大事に想ってた事も伝えたらしい。
それを伝えた上で、やっぱり別れたのは正しかったって……困ったように笑いながら言ってたって小林に聞いた。
小林は……そんな高遠に、本気で好きだった事と……高遠と出会えた事、好きになった事、付き合えた事、全部を誇りにするくらいいいモノだったって伝えて……
高遠と張り合うくらいいい教師になるって約束した。
そんな小林に高遠は穏やかに微笑んだって、小林に聞いた。
『澤田によろしく』って。
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