恋するキミの隣で。~苦さ96%の恋~
誰にも話していなかった小林の気持ちに高遠は気付いてて……それを言われた小林は動揺したけど、静かに頷いた。
結局、別れても小林の気持ちを一番よく知っていたのは高遠で。
それが悔しいんだけど、まぁ……今回はよしとする。
……それでこそオレの恋敵。
最高の最強の……尊敬するほどの恋敵だ。
「しっかしなぁ……一昨日、高遠が小林のとこに走った時はてっきり元サヤに戻ると思ったんだけどなぁ……まさか澤田を選ぶとは」
「なぁ……オレもてっきりっ……て、最後のは余計だろ」
「だからあの日は澤田に缶コーヒーやったのにな。
すっかり高遠に騙されたな」
「なんだよ。初めは高遠にやる気だったのかよ」
オレの言葉に矢野センが片眉を上げて笑みを作る。
少し意地悪そうな笑みを。
「まぁな。小林と別れたって聞いてから毎日差し入れしてたし」
「……それ、下手したら嫌がらせだぞ」
「半分はひやかしだったからいんだよ、別に。
あいつはあんな時じゃなきゃ弱い一面なんか見せねぇんだから。
おかげで思う存分からかってやれたけど」
「最悪だな……つぅかSだな、矢野セン」
「今頃気付いたか。気に入ってる奴ほどいじめたくなるんだよな。
これはもう性質であってオレのせいじゃねぇな」
「いやいや、矢野センのせいだろ」
矢野セン節に呆れながらも、弾む会話に笑みをこぼす。
そしてまた缶コーヒーへと視線を向けた。
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