恋するキミの隣で。~苦さ96%の恋~
「矢野セン、オレの気持ちを透視してく……」
「おまえもう教室戻れよ。
5時間目始まるし。
いつまでもバカな事言ってんな」
「……」
数学学習室を追い出されたオレは、予鈴を聞きながら渋々教室へと向かう。
教室に入ると、岡田のバカでかい声が耳について思わず顔をしかめた。
「今度、市川先輩のクラスの人達が寮に遊びいくんだって! だからついでにオレもどうにか潜り込んで……」
未だに熱の下がらない岡田に小さなため息をつきながら席に座る。
……小林の隣に。
「矢野先生のトコ行ってたの?」
「ああ、超邪魔者扱いされたけど。
あ、今日帰り何か食ってかねぇ?」
小林は少し照れたように微笑んでコクンと頷く。
昨日あんなにいちゃいちゃしたのに、思わず小林に向かって伸びそうになる手を止める。
……どんだけだよ、オレ。
両思いになれても、オレの気持ちは留まる事を知らずに小林へと転がり続けて、それはもう制御不能。
まぁ、我慢するけど。
嫌われたくねぇし。
……――――キーンコーン……
「席着くように」
チャイムと同時に入ってきたのはなぜか高遠。
……はぁ? なんでだ?!
HRのハズなのにっ……
つぅか……
教壇に立つ高遠に、オレは思わず隣の小林に視線を移す。
.