恋するキミの隣で。~苦さ96%の恋~
「……――――」
あの和解から数日しか経っていない対面に、心配したオレだったけど……
小林の瞳は優しく穏やかに高遠を見つめていて……
高遠も同じように小林に微笑んでいた。
いつかの、あの切なくて泣き出してしまいそうな小林はどこにもいなくて。
自分の感情を殺して、小林の気持ちを見ないようにしていた高遠も、どこにもいなかった。
今、明らかにオレには分からない感情がこの2人に流れてる。
それを悔しいと思えない自分に疑問を感じながらも……オレは小さく笑う。
彼氏になった余裕からなんかじゃない。
そんなんじゃなくて……もっと、もっと深い感情。
流れる穏やかな空気にひどく安心して胸を撫で下ろしていると、不意に高遠に見つめられて……
不審な笑みを落とされた。
そして……
「担任の先生にこの時間の代理を頼まれた。
今から席替えをする。
端から順にくじを取りにくるように」
……。
「はぁーー?!!」
まだまだ試練は多いらしいオレの恋路……
だけど……小林の隣にいられるなら、どんな試練でも乗り越える。
キミの隣にいられるなら――――……
「おい、壱。早く引けよ」
「ちょい待てって! 精神統一してんだから話し掛けんなっ!」
神様!!
……いや、うち仏教だっけ。
じゃあ……仏様!!
ついでに林檎うさぎ!!
どうか――――……
【恋するキミの隣で。~苦さ96%の恋~】
END
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