恋するキミの隣で。~苦さ96%の恋~
取り消しのできない気持ちに気付いて、その場に立ち尽くしていると、高遠が後ろのドアを開けた。
慌てて柱の影に身を潜める。
こっそり覗くと、高遠はドアを閉めるまでの数秒間、教室の中を見つめた。
真剣な、切ない瞳……
高遠のその視線の先にいるのは、恐らく小林。
なんだよ。今頃罪悪感かよ。
悪いと思ってんなら謝れ。
頭の中で毒づいているオレの思いは高遠には届かず、高遠はそのままドアを閉めて職員室へと向かって行った。
バレなかった安心からなのか、それとも気付きたくなかった気持ちのせいなのか……
気の抜けたオレはその場にしゃがみ込んだ。
壁一枚挟んだ場所に小林がいる。
大きなため息をついた後、オレは古文学習室のドアを見つめる。
ドアの向こうにいる小林を想像して痛んだ胸を、Yシャツごと掴みながらゆっくりと立ち上がり、そのドアを開けた。
.