恋するキミの隣で。~苦さ96%の恋~


しばらく続いた沈黙の時間を破ったのは小林だった。


「澤田くん、古文学習室になんか何か用事?」


その声に顔を上げると、小林の瞳がオレを捕らえていた。

だけど、その目はいつもの人を突き放すような瞳じゃない。

……引かない涙のせいで、キラキラ光っていた。


「……いや、小林さんに、かな」

「なに?」


早く済ませて。そんな感じに聞き返した小林に、オレの中のなんだか分かんない感情が湧き上がる。

嫉妬なのか、悔しさなのか……

さっきまで高遠に向けていた笑顔はどこにもなくて、クールを装う小林に無性に腹が立つ。


なんだよ。

高遠にはあんな可愛く笑ってたくせに。

泣きそうなほどに表情を歪めてたくせに。

素直に感情を出してたくせに。


なんだよ……オレにはそんな態度かよ。


さっきまでの高遠に感じていた怒りがプラスされて、オレの中では色んな感情がごっちゃ混ぜになっていた。

一度湧き上がった感情は、留まる事を知らずオレの口を割らせた。


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