恋するキミの隣で。~苦さ96%の恋~
「つぅか、見ちゃった。
小林って高遠とラブラブだったんだ?知らなかったな~」
……―――― 一瞬、小林の表情が崩れた。
やっぱり教室での小林は作り物だったんだ。
小林が何のために偽の自分を作り出して、友達を作ろうとしないのか、理由は知らない。
別にどうでもいい。
友達のいない小林をクラスに馴染ませようとか、そんな偽善者じゃないんだ。オレは。
ただ、小林の感情を見たいだけ――――……
「これバラしたらどうなるかなぁ……大問題になるよな?どうする?小林サン」
いつもは付けない「サン」付けで、小林を挑発する。
バラす気なんかない。
小林を困らせる気なんかない。
オレが望む事は、ただ1つ……
『お願いだから言わないで』って……小林に哀願される事。
クールの仮面を剥いだ小林に、頼まれる事。
高遠に向けてた笑顔なんか望まない。
柔らかい表情なんか望まないから。
怒りでも何でもいいから、オレに小林の素直な感情を見せろよ。
本当の小林を、オレに見せろ。
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