恋するキミの隣で。~苦さ96%の恋~


……そのマジックを小林にもかけてくんねぇかな。


みんなが矢野センとの会話を楽しむ中、小林の視線が再びオレを捕らえている。

オレはその視線を横っ面に感じながら、少しだけ顔を背けた。


ささやかなオレの抵抗は小林には届かず、チラチラと感じる視線。

……やっぱ、謝ろ。


クラスを盛り上げる話題は、矢野センの高校時代の話だった。


「矢野セン、絶対不良だっただろ〜」

「いや、オレ生徒会長とかやってたし」

「嘘つくなよっ」

「どっちだっていいじゃねぇか。オレがそうだって言ってんだからそうなんだよ」


楽しそうな雰囲気の中、オレと小林の間を流れる空気だけが……重い。



助けて。矢野セン……


.

< 33 / 164 >

この作品をシェア

pagetop