恋するキミの隣で。~苦さ96%の恋~
「澤田くん……ちょっといい?」
授業を終えた矢野センが教室を出て行った時、隣からそんな声が聞こえた。
まさかの小林からの言葉に、オレは動揺を隠せない。
だって……つぅか、もしやこれは謝罪の催促か?
……ありえる。
「……おぅ」
やけに心臓が速いのは、昨日気付いた感情のせい。
好きなんていう柄にもない恋愛感情のせい……
やばいくらいに脈打つ心臓にびびりながらも、教室を出る小林に続く。
すれ違った友達数人に話しかけられたけど、んなの耳に入らねぇ。
ただただ小林の背中を見つめて歩いていると、小林の足が止まった。
気付けば周りには生徒の姿はなく、賑やかな騒ぎ声もどこか遠くに感じる。
連れてこられたのは屋上へと続く階段の踊場。
ゆっくり振り返った小林と、目が合った。
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