恋するキミの隣で。~苦さ96%の恋~
「……でも、昨日は「言えば?」って言ってたよな?」
喉に違和感がある訳でもなかったのに咳払いを1つしたオレが、口元の拳をそのままに聞く。
……にやける口を隠すためなんだけど。
小林は少し真剣な顔をして、ゆっくりと視線を落とす。
それはいつも見ているクールな表情を映し出している訳ではなく、微かに浮かべた笑みを悲しそうに崩した……なんとも言えない表情。
そして、唇をきゅっと噛み締めた後、口を開いた。
「あの時は……そう思ったの」
「?」
「あ、本当はバレたら絶対にダメだし、それはよく分かってるんだけど……」
そこまで言った小林が、ゆっくりと視線を窓の外へと移す。
差し込む光に透ける髪が、いつもより輝きを増す。
「時々すごく残酷な気持ちになるんだ。
守りたいのに……全部を壊したくなる」
「……」
小林の言った言葉は、小林の素顔に動揺したオレの頭のキャパを越えていた。
だけど、小林の切ない微笑みが小林の心情を物語っていて、オレの言葉を封じる。
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