恋するキミの隣で。~苦さ96%の恋~


「あ~……まじ勘弁」

「メグミ?あいつ彼氏いんのになんで壱にこだわんだろうな」


オレのこぼした言葉を誤解した岡田が、下駄箱から靴を取り出しながら言う。

岡田が乱暴に靴を床に放り投げたせいで、砂っぽいほこりが辺りを包んだ。


「煙いだろっ!もっと丁寧に置けよ」

「はは。悪い悪い」


絶対反省なんかしていない岡田にため息をついた時、ケータイがポケットの中で震えた。


メールが来た事を知らせるアイコンに、メールボックスを開いて……オレの手が止まる。


From.小林
Sub.アップルパイ
―――――――――――

今弟とアップルパイの事話してたら、弟もアップルパイはデザートだって思うって!

やっぱりアップルパイはデザートだよ。

澤田くんの負けだね。

―――――――――――




「なに?メグミ?」


隣から聞いてくる岡田に、にやけた口元を隠して返事をする。


「あぁ。……まじ勘弁」


まじ勘弁。

こんなメール1個で喜ぶオレって純情すぎんだろ。


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