恋するキミの隣で。~苦さ96%の恋~

「なぁ矢野セン……可能性の低い恋した事ある?」


数学学習室で呟いたオレに、参考書に目を通していた矢野センが一瞬だけ視線を向けて……また参考書を見た。

ほこりっぽい古文学習室とは違って、ここは結構キレイだ。

同じようにどっさりと本が置いてある事には変わりないのに……なんでだろ。


「澤田は可能性の低い奴に片思い中か」

「オレの事はいいんだよ。矢野センの事聞いてんの」

「さぁな。どうだったかな」


……はぐらかしやがった。

オレ真剣に聞いたのに。


「なぁ、矢野センって今彼女いんの?」


オレの問い掛けに、矢野センがふっと笑う。

……絶対また誤魔化すつもりだ。


と、思っていた時、学習室のドアが開いた。


……――――ガラ


オレと矢野センの視線を集めた女子生徒が、少し怒った表情で入ってきた。

上履きの色からして3年生。

……ちょっと可愛いな。


強気な感じの瞳に、愛らしい唇。

無意識に小林と似てる場所を探すオレははっきり言ってイタい。


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