恋するキミの隣で。~苦さ96%の恋~


「……なんか可愛いかも」


ぽつりと言ったオレに、矢野センが鋭い視線を向けた。


「手出すなよ」

「いや。出さないけど、なんで?」

「あいつの彼氏やばいくらい怖いから。

澤田なんか煮て食われるかもな」

「まじ?!……え、ヤクザ?」


オレの問いかけに、矢野センは言葉は発せずに、にっと口の端を上げた。


「……まじかよ」


人は見かけによらないってよく言うけど……まじで?

あんな普通な感じの子が……?


「こえー……」

「怖がってないで早く教室戻れ」

「あぁ。……って矢野セン答えてないし」


オレが言うと、矢野センが面倒くさそうに眉をひそめた。

そして眼鏡の奥の瞳を歪める。


「可能性の低い恋だっけ?若いうちから守りに入ってんじゃねぇよ。

諦める努力すんならギリギリまで粘れ」


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